アイケムフィルターインサート
iChemフィルターインサート
【カスタマーレビュー】
このフィルターインサートにたどり着いた経緯として、”オートメーション化が容易なろ過装置”をいろいろと検索していたところ、たまたま見つかった次第です。
利用法としては、薬剤(や中間体)の溶解スクリーニングに利用することがほとんどです。我々の要求仕様としては、まず前提として耐溶剤性でありフッ素樹脂で作られていることでした。
類似の他製品はPS, PP素材が多く、長時間有機溶剤につけると変形、溶解してしまうためです。アイケムフィルターのフィルター細孔径が10umと適度であり拡散性が良いのもポイントです。
従来、手動でこれらの実験をする際は、フィルター一体型ろ過バイアルでろ過してから分析したり、ポリプロピレン製小型試験管などを用い遠心ろ過していました。
現在はこのアイケムフィルターインサートをこれらの代替として利用していて、わざわざオートメーション化しなくてもろ過の手間が省ける、というのは化学者にとって大きなメリットがあります。 現状反応追跡には利用していませんが、今後反応にも利用してみる予定です。
米国のETCで採用され、定評のあるアイケムフィルターインサートが日本上陸!
さまざまな条件下で様々な溶媒の化合物溶解度を予測することは、科学者にとってボトルネックとなっています。
アストラゼネカの研究者で米国ETC ( Enabling Technologies Consortium)の溶解性ワーキンググループのメンバーは、「溶解度を測定する能力がいまだ十分ではない」としています。(ETC Webより引文)
その一つの解決策としてETCで 提案・開発採用されたのが、このアイケムフィルターインサートです。
ディスクフィルターやシリンジフィルターを使うことなく、2mlバイアルに入れておくだけでバイアル内サンプル溶液を濾過します。
HPLCやGCのオートサンプラー、溶媒検討、溶解度測定、粉体試料の濾過等、さまざまなニーズに合わせた使い方が可能です。
米国ETC(Enabling Technologies Consortium)とは
医薬品の効率的な開発・製造をサポートする科学的なツールと技術を特定、評価、開発、改善することを目的とし、医薬品化学、製造、および管理に関連する問題に協力するために結束した、製薬会社とバイオテクノロジー会社のグループです。
構成メンバー<米国の製薬会社12社>
- AbbVie(アッヴィ)
- Amgen(アムジェン)
- AstraZeneca(アストラゼネカ)
- Biogen(バイオジェン)
- Boehringer Ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム)
- Bristol-Myers Squibb(ブリストルマイヤーズスクイブ)
- Eli Lilly(イーライリリー)
- Genentech(ジェネンテック)
- GlaxoSmithKline(GSK)(グラクソ・スミスクライン)
- Merck(メルク)
- Pfizer(ファイザー)
- 武田薬品工業
上記リストのオレンジ色6社の溶解度ワーキンググループで、溶解性について研究を重ね、実験プログラムを通じて高スループット溶解度ワークフローの現在の課題に対処し、現在の手動および高スループットプラットフォームの精度、再現性、および課題を評価し、実験データセットを使用して溶解度モデリング/予測プラットフォームを評価することを目的としている。
アイケムフィルターインサートの特性
- PTFEフィルターインサートの素材は、5〜100℃の温度動作範囲で幅広い化学的適合性を提供。
- 適度に親水性になるように処理されたPTFE多孔質フィルター膜。
- フィルター膜を横切る動的拡散により、インサート内部のろ液は、リアルタイムサンプリングのためにバイアル溶液と平衡状態に。
- 溶解度と結晶化の研究から飽和溶液をろ過する。
- 反応スクリーニングから不均一系触媒で溶液をろ過する。
- 可溶性分析物の固体マトリックスで溶液をろ過すること。
(例)ストレス研究または不溶性賦形剤の存在下での医薬品からの医薬品有効成分の抽出
フィルター浸透試験
- 溶媒の浸透:ろ液の量を即座に観察
- 溶剤の適合性:さまざまな溶剤で攪拌および加熱
- シールの完全性:バイアル内フィルター2〜12 µmの粒子サイズの木炭
- テストした溶媒:DMSO、メタノール、アセトニトリル、THF、アセトン、酢酸エチル、トルエン、ヘプタン、IPA /水(50/50)、およびアセトニトリル/水(10/90)
有機溶剤またはその水混合物の場合、フィルターの透過は瞬時に完了します。
100%水溶液の場合、浸透を促進するためにフィルターインサート内に100uLのブランク溶液を追加することをお勧めします。
アプリケーション<溶解度対温度の研究例>
- iChemフィルターインサートを入れた2mLバイアルに1mLエタノールと60mgカフェインを入れます。
- 攪拌しながらそれぞれ30℃、40℃、50℃、60℃で平衡化。
- 平衡化の最後にiChemExplorerによって自動的にサンプリングされ(フィルターインサートから2uL)、HPLC分析用にオンライン希釈されます。
アプリケーション<37℃での水溶性の研究例>
- iChemフィルターインサートを入れた2mlバイアルに1.2ml水性緩衝液と1mgヒドロコルチゾンを入れます。
- 200rpmで攪拌しながら37℃で平衡化します。
- iChemExplorerによって2時間ごとに24時間自動的にサンプリングされ(フィルターインサートから2ul)、HPLC分析用にオンライン希釈されます。
特長
HPLC分析における試料調製は、夾雑物(微粒子)の濾過が重要です。
アイケムフィルターインサートは、バイアル内に試料と溶媒を入れ、ワンプッシュし、しばらく放置するだけでサンプル濾過が完了します。
濾過後はHPLCやLC-MSのオートサンプラーにバイアルごとセットしてそのまま分析できます。
- HPLC溶解性試験サンプリングに
- 個体サンプルのフィルトレーション
- そのままオートサンプラーに
普段お使いの汎用1.5mLバイアルにそのまま入れるだけで粉末サンプルがフィルトレーションできる、pore size 10umのPTFEフィルターが付いた、有りそうで無かったフィルターインサートです。
Reaction Analytics Inc.(USA)製
- 多種溶媒に対応
- 市販のバイアルを使用できます
- バイアル底部にΦ2×7mmの回転子を挿入可能
- 他社比 約2倍のサンプルボリューム(例:微粉末試料150mg 溶媒1.5ml)
使用方法
バイアルに溶媒、試料、回転子を入れて、iChemフィルターインサートを入れるだけ!
※iChem Filter insertは有機溶媒用で、耐薬品性に優れており特にHPLCサンプルに適しています。
親水性サンプルには、フィルター部を有機溶媒に5分間浸け、水で軽く流した後でご使用いただけます。
※iChem Filter insert は汎用のスクリューキャップバイアルでも、お使いいただけます。
応用例 <i-Prepと一緒に使用し溶解度測定が可能>
バイアルサンプル前処理装置i-Prepアイプレップを使用し、パラセタモールの溶解度測定をします。
下記のような溶解度曲線が得られます。
仕様
50個入り(VF-PTF-50)、100個入り(VF-PTF-100)、200個入り(VF-PTF-200)、500個入り(VF-PTF-500)をご用意。
マイクロスターラーバー(回転子)も販売いたします。
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